ドローンを使ったジャンボタニシの試験的防除
熊谷市病害虫防除協議会は9月2日(金)、同市の水稲圃場にてドローンを使った薬剤散布によるジャンボタニシの防除作業を試験的に行いました。
大里農林振興センター、病害虫防除所、熊谷市、農薬メーカー、JA担当者等12名が参加しました。
ジャンボタニシとは俗称であり、正式名称はスクミリンゴガイ。タニシ科ではなくリンゴガイ科に属します。
殻の高さ20~25㍉の貝の場合、稚苗(2葉期)の稲を1個体で1日10株程度食べてしまいます。
熊谷市での被害は近年増加傾向で、深刻な状況にあることから早急な対応が求められています。
ジャンボタニシの防除は田植え時期に行うのが一般的ですが、防除後の夏場に産卵し数を増やします。
大きな貝は越冬が難しいとされていますが、卵から孵化した5~10㍉の小さな貝は越冬し田植え時期の水稲に被害をもたらします。
今回のように水稲の出穂後に防除を行うことにより、越冬貝を減らし来年の田植え時期の食害を抑えることが狙いです。
散布薬剤は粒剤のスクミンベイト3。有効成分である燐酸第二鉄を含んでおり、ジャンボタニシが粒剤を食べると食欲が低下し、餌が食べられなくなることで防除効果が期待できます。
本剤は使用回数の制限がなく空中散布にも適していることから今回の防除作業で使用しました。
9月9日(金)および16日(金)には同圃場にトラップを仕掛け、防除をしていない圃場と比較し、薬剤の効果を検証しました。
未防除の圃場に比べ薬剤を散布した圃場はトラップにかかったジャンボタニシが少なく、ジャンボタニシの食欲が低下していることが確認できました。
奈良地区の農業生産法人である株式会社太陽ファーム奈良の田中輝久代表取締役社長は「ジャンボタニシによる被害で米の収量が減ってしまう。何としても被害を抑えたい。今回の防除で今後の方向性が示せれば」と話しました。